今から100年前のこと。
私の大伯母(祖母の姉)は横浜に住んでいました。妊娠中でした。
地震が起きてみんた焼けてしまって、大伯母は東北の実家を目指すことにしたそうです。
機能を失った首都圏に大勢の被災者がいたら食糧などの問題もあるからか恐らく政府がそうしたんでしょう、東北方面に行く無料の列車を走らせたようです。
まぁ、この場合は政府でしょうね。
大伯母は桜木町駅から品川駅まで、線路の上を歩きました。
そして品川から岩手県の実家を目指して列車に乗りました。
その列車の写真をネットで見ましたが、屋根が無い無蓋列車でした。
日本でもあんな列車が走っていた時代があるのか…
当然列車は立錐の余地もないほどの混雑で、窒息したり列車から落ちたりして命を落とす人が何人もいたようです。
(私はこの本を読みました。この人の本は何冊か読んでますが、足を使った取材力が凄いです。)
そんな列車に妊娠中の大伯母は乗りました。
ただ、理由は分かりませんが目的地の岩手県までは行けず、途中の仙台辺りで降りたそうで。
そして駅の近くの親戚の家に身を寄せて、無事に女の子を出産しました。
死んでもおかしくない地震に遭い、過酷な列車に揺られ元気に生まれた子に『トク』と名付けたそうです。
命を得たということから『得』→『トク』になったということです。
これは2年前、戸籍を遡っているときに、ハワイの遠い親戚から「30年前に日本から届いた手紙」だと見せてもらった手紙に書いてあったことです。
その手紙を書いたのはトクさんです。
今年は関東大震災からちょうど100年、大伯母を覚えて祈ります。